大津中央ロータリークラブ

一般の方向け

認知症による徘徊者捜索システムの実証実験

平成28年12月3日、大津中央ロータリークラブ(会長 浜本博志)は、大津市及び大津市社会福祉協議会の後援のもと「ビーコンとスマホを使用した徘徊高齢者捜索システムの検証実験」を実施いたしました。

現在、日本全国における認知症による行方不明者の数(※1)は、平成24年9,607人、平成25年10,322人、平成26年10,783人、平成27年12,208人と、毎年増加の傾向にあります。これに対し、認知症への理解度や、行方不明者を捜索するシステム・体制の構築などは、必ずしも万全とは言えない状況にあります。われわれが生活する、滋賀県及び大津市においても、同様であり、いまの状態で「安心」といえるのか?認知症による行方不明者を捜索する方法にはどんなものがあるのか?その可能性はどの程度なのか?など、様々な課題があります。(※1) 警察庁発表「行方不明者の状況」平成28年7月

<検証実験 実施概要>

 

■実施日時           :平成28年12月3日(土) 10:00~12:30

■実施場所           :大津市中央学区を中心とした徒歩30分圏内(別添地図参照)

■実施本部           :大津市ふれあいプラザに設置

■参加者等           :約100名

大津中央ロータリークラブ会員及び関係者 35名

一般市民ボランティアなど 65名

大津市職員、大津市社協職員、民生委員、市会議員(大津・草津)

企業労働組合員、自治会役員、警察関係者、マスコミ関係

■主催                  :大津中央ロータリークラブ(会長 浜本博志)

■後援                  :大津市、大津市社会福祉協議会

 

<検証実験 当日スケジュール>

 

①認知症高齢者が2名同時に徘徊したと想定。

②検証実験は、徘徊者が外出してから30分後の状況からスタート。

③会員、ボランティアなどは、探知アプリをダウンロードしたスマホを持って所定の位置に待機。

④徘徊者の情報を捜索チームに伝達(徘徊者の特徴、性別、年齢、風貌、外出時の服装、持ち物など)。

⑤Aチーム4組8名とBチーム4組8名(計16名)が同時に本部から出発。

⑥徘徊者のビーコン探知情報を捜索本部でリアルタイムにチェック。

⑦ビーコン探知したら、捜索本部から、探知情報をBチームに逐次電話連絡する。

⑨発見したら「声掛け」→「保護」を実施する。

⑩徘徊役が自分だと認めたら、ピンクのカードを提示→無事に保護。

⑪発見保護の時間と状況を記録。

上記の実験を1時間行う。

 

<検証実験 捜索結果>

 

検証実験開始(徘徊者情報伝達→捜索スタート)AM10:30

捜索結果

Aチーム(アプリなし)4チームとも発見できなかった

Bチーム(アプリ使用)B-1女性を11:35に保護

B-2男性を11:08に保護

B-3男性を11:40に保護

B-4男性を11:05に保護

4チームとも発見保護に成功した。

<成果と課題>

 

検証実験そのものの成果と課題としては、以下のような点があげられる。

①本システムによる捜索で制限時間内に全チームが発見に至った。

(捜索開始から 35分~65分)やみくもに探すだけでは発見する確率は相当低い。

②「認知症による行方不明者」イメージの先入観(ゆっくり歩く、元気がない等)が捜索に影響する。

特徴などの伝達方法や伝達内容が大切である。

③徘徊者・行方不明者と思われる人への「声掛け」の難しさ

認知症の方への対応方法、声掛けすることへのためらいなど

④一般市民への参加告知など

多くの人に参加してもらう事の難しさ。

⑤みまもりポイント(アプリ起動スマホ)が相当数起動していないと捜索は難しい

アプリやシステムの啓蒙・普及がポイントである。