職業奉仕委員会

ロータリアン向け

職業奉仕講演会を開催しました

「ロータリーの希望、職業奉仕の可能性」

2018-19年度の職業奉仕講演会は、3月24日(日)午後、京都テルサホールにて開催されました。
 講師には、元RI理事の松宮剛氏(PDG RID2780 茅ヶ崎湘南RC)、日本のロータリー100周年記念 ビジョン策定委員長の本田博己氏(PDG RID2840 前橋RC)をお迎えしました。お2人は現在の日本のロータリーを代表する論客であり、各地で数多く講演等をされていますが、2人お揃いでというのはおそらく今回が初めてで、その意味でたいへん贅沢な講演会となりました。


 松宮氏の講演は、「今、ロータリーを問い直す」と題するもので、親睦と相互扶助(=会員同士の取引)から始まった創立当初のロータリーが、その後世界的組織へ拡大・発展していく過程で置き去りにしてきたもの ─「自己」や「利益(profit)」─
をもう一度見直すとともに、ロータリーというものを再構築しようという試みです。「ロータリーの目的」及び「奉仕の理念」を土台に据え、従来の「親睦」と「奉仕」に、「利益」(会員の職業環境に関する事柄、職業人としての進化の機会の提供等)を加えて、この3つのポイントでロータリーやロータリークラブの視界を明らかにされました。その上で「私家版戦略計画」を提示し、「奉仕の理念」の理解を深め、活動全般に反映させることによって会員の意識を喚起し、クラブの活性化をはかることが重要であると述べられました。

 一方、本田氏は、「ロータリーの根幹は“奉仕の理念”です」と題し次のように述べられました ─ 多くの日本のロータリアンが強調する「職業奉仕」は所謂「職業倫理論」であり、「職業奉仕」という言葉を使わなくても「職業倫理」や「高潔性」といった言葉で十分に説明できる。「職業奉仕」という言葉は、クラブの活動の枠組みである職業奉仕部門の活動についてのみ使うべきで、「奉仕の理念」という世界共通の言葉でロータリーの奉仕に関する議論を深めていこう ─。
 また、話の後半では「奉仕の理念」に関する深い考察を示され、職業も含め人生のあらゆる場面でロータリーの「奉仕の理念」を実践することが、社会の中で自分を活かす道であり、社会をよい方向に導く強い力をもっていることを信じようと説かれました。
 そして、初期ロータリーの「相互扶助の精神」は、“Service”の概念が加わって「奉仕の理念」へと発展し、現代に至るまでロータリーの一貫した思想となっている。東日本大震災の際、被災地への支援活動へと人々を動かしたのは助け合いや分かち合いといった「相互扶助の精神」であり、これこそが「ロータリーの希望」であると締めくくられました。

 休憩を挟んで講演会の後半は、ここまでの内容をさらに深掘りすることを目的に、「ロータリーに希望はあるか?~“奉仕の理念”とロータリーの可能性を探る~」と題し、鼎談が行われました。
 松宮氏、本田氏に中川基成ガバナーを交えて、「私がロータリアンであることの意味、ロータリーが自分にもたらす価値」、「ロータリークラブは地域社会に対してどのように貢献できるか」の2つを主な話題としつつ、内容は職業奉仕にとどまらず、クラブの奉仕活動のあり方、会員維持・増強、例会のあり方等クラブ管理運営に至るまで多分野に及ぶとともに、一方でロータリーの本質に迫るところまで議論が交わされました。3名の鼎談者がそれぞれ、自分自身や自クラブでの経験談を交えながら率直にお話になられたことで、たいへん分かり易く印象に残るものになりました。

 2018-19年度の地区スローガンは「ロータリーを学び、実践し、発信しよう;Enjoy Rotary」ですが、本講演会はまさにこれを具現する事業になったのではないかと思います。今回、地区外を含め合計508名のご登録を頂きました。年度末のたいへんお忙しい中、ご登録ご参加を頂きました皆様にあらためて御礼申し上げます。