財団奨学金・平和フェローシップ委員会

一般の方向け

RI2650地区グローバル奨学生からのメッセージ[柳生 茂希さん]

 

柳生茂希さん

所属 :信州大学 学術研究・産学官連携推進機構 遺伝子細胞治療研究開発センター 教授

留学先:米国テキサス州 ベイラー医科大学 遺伝子細胞治療センター  2014年2月から2015年7月まで留学

研究内容:疾病予防と治療

支援クラブ:京都洛北ロータリークラブ

 

(近況報告) 2022年5月

わたしは、ロータリーの皆様のご支援をいただき、2014年2月から2年半、米国に留学させていただき、がんのこどもたちに対する遺伝子細胞治療の開発研究をさせていただきました。

2015年に帰国した後も、小児科医として、がんのこどもたちの診療にたずさわりながら、「いまだ治るすべがない小児がんのこどもたちに、新しい治療を届けたい」という思いは変わらず、米国での研究を続けています。

わたしの専門は、遺伝子改変T細胞療法(CAR-T細胞療法)とよばれる治療となりますが、おかげさまで、米国で学んだ知識、経験を生かして、小児がんに対する新しいCAR-T細胞を開発することができました。2022年4月からは、活動の場を信州大学に移し、5月から、わたしが開発したCAR-T細胞製剤の効果と安全性を確認するための臨床試験(治験といいます)を開始することができました。こどもの固形腫瘍に対する日本ではじめてのCAR-T細胞の治験であり、テレビや新聞でも大きく取り上げていただきました(一部の記事をご紹介いたします)。

https://www.shimintimes.co.jp/news/2022/05/post-17935.php

https://medical.jiji.com/news/52340

https://oncolo.jp/news/220513hy01

小児がんのこどもたちのための新薬開発にはまだまだ乗り越えるべき課題がありますが、ロータリーの皆さまが与えてくれたチャンスをきっかけに、現在も病気のこどもたちと向き合いながら、なんとか前に進むことができていることに大変感謝しています。

グローバル奨学生として経験したこと、そして得ることができた人脈は、確実にわたしの視野を広げてくれました。わたしが取り組んでいる遺伝子細胞治療開発は全世界で開発競争が進んでおりますが、海外の仲間たちと切磋琢磨しながら、こどもたちに新しい治療を届けることができるように、引き続き取り組んでいます。