卓話
俳句の いろは 渡邊政子氏
俳句をはじめましょう
パソコンをお持ちでしたら、「雲の峰」と検索し、 「俳句入門…初心者のための俳句小講座」をご覧下さい。
この記事と同時に、もう少し詳しく書いたページを用意しています。
俳句は十七文字の自分詩、そして一日一行の自分史。
指を折りながら作っていくうちに、ちょっとオシャレな自分史ができあがる。これが俳句の世界です。
誰にでも、いつでも始められる、
これが俳句の大きな特徴です。
俳句は五・七・五で作る
古池やかはず飛び込む水の音
松尾 芭蕉
春の海ひねもすのたりのたりかな
与謝 蕪村
雪とけて村いつぱいの子どもかな
小林 一茶
俳句には季語を一つだけ入れる
いくたびも雪の深さを尋ねけり
正岡 子規 季語=雪
遠山に日のあたりたる枯野かな
高濱 虚子 季語=枯野
来し方や馬酔木咲く野の日のひかり
水原秋桜子 季語=馬酔木
五七五で作る、季語を入れることを有季定型と言います。
この二つの約束を覚えてさえいれば、俳句は誰にでも作れます。
何を詠むか……
家の中、庭、近くの小川、商店街など身近な場所で、季節の言葉を探ってみましょう。
何かを見つけたり、何かに気付いたり、驚いたりしたとき、つまり発見や感動したとき俳句が生まれます。
とにかく作ってみよう
…あ、街角におもちゃ屋さんが開店した。あじさい(紫陽花)をきれいに飾ってあるな…
紫陽花を活けて玩具屋開店す
立派な俳句となりました。ちゃんと5・7・5になっています。そして季語は紫陽花。
この句を残しておけば、「俳句を始めたあの日、あのおもちゃ屋が開店したんだ…」
といつまでも思い出に残ります。
俳句は長々と書いた日記よりも鮮明にその場のことを思い出させてくれます。
…おや、街路樹の上の方から虫の音がする。木の上でも虫が鳴くのか…
木の上で虫鳴いてゐる夜更けかな
こうするとイッパシの俳句。鳴く虫が秋の季語です。こんな具合に作ってみます。
感動
俳句は感じることから始まります。人生には美しさ・珍しさ・寒さ・暑さ・嬉しさ・悲しさなど、いろいろな驚きがあります。
この驚きや発見を五七五の調べにのせるのが俳句。驚きを言い換えると、感動ということになりましょう。
それは喜びや悲しみに出会った感慨であり、美しいものに出会った感激であり、
今までに気づかなかったことを発見したうれしさ等々であります。
これらを詩情とも言います。
感動する機会が少ない・・・・・・という人もいます。そんな人は意識して五感(耳・目・鼻・舌・皮膚)を働かせましょう。
庭・道路・川・公園・畑などで、目・耳・鼻・・・・・・の順番に働かせてみます。
視覚 目 見ることです。色々な方向から見るようにします。
聴覚 耳 聞くことです。ちょっと耳をすますと、色々な物音が 聞こえます。
臭覚 鼻 匂いを嗅ぐことです。風の匂、水の匂、花の匂・・・・・・
味覚 舌 味わうことです。
触覚 肌 ざらざら・滑らか・冷たい・温かい・柔らかい・固い
表面からでなく、裏からも横からも、斜めからも見ること。時には目をつむって見ること。
いつでも、どんなことにも、花の色にも、鳥の形にも、川の水音にも「なんでなの?」
「どうしてなの?」「どうなっているの?」という気持ちで接することが一番早道です。
いわゆる好奇心というヤツです。
「あれは、あんな物なのよ」と思ってしまっては感動は生まれません。
大いに目をこらし、大いに耳を澄まして下さい。今までに気づかなかったこと、
気づいても気にも止めなかったことがまざまざと見えてくることでしょう。
俳句は十七文字の自分詩、そして一日一行の自分史。
感性を研ぎ澄まして、潤いのある自分史を作り上げて参りましょう。
秋の季語をいくつか紹介します。どれかひとつ選び俳句を一句作ってみて下さい。
秋 秋高し 鰯雲 爽やか 秋の空 秋彼岸 秋祭
赤蜻蛉 鵙 秋桜(こすもす) 紅葉
卓話をお聞きして西川会長の当日の俳句
十五夜の冷たき風や友をふと
五味和代会員の句
抱かれて眠りゐる子や七五三