私の名前はチャロンインパイサン プラパッソーンです。チャロンインパイサンが苗字であ
り、プラパッソーンは下の名前です。実はタイ人の皆さんは私のように長い名前の人ばかりで
す。そのため、この長い名前と別に皆さんはニックネームがあります。このニックネームはだ
いたい親や親戚が生まれてから、名付けてくれます。私の出身はタイのバンコクですが、私の
顔がタイ人にあまり見えないねとよく言われます。実は私の祖父世代からは中国からタイに移
民してきて、そのため私は中華系のタイ人です。私のニックネームはおじいさんがつけてくれ
て、中国語であり、木の名前らしいです。私は 2010 年 7 月から日本に留学してきました。
まずは私の故郷について簡単に紹介したいと思います。この地図でわかるようにタイは東南
アジアの国であります。私の故郷であるバンコクはタイの真ん中ぐらいに位置しております。
私の家や学校は実は観光地に囲まれました。私の家はチャオプラヤ川沿いにあります。
学校も川沿いにあり、もしバンコクの観光情報から見ると、バンコク観光でまず外せないの
が、チャオプラヤー川沿いにある三大寺院、ワット・プラ・ケオ、ワット・ポー、ワット・ア
ルンを巡る定番ルートがあるんですが、それが私が毎日の通学路で見た景色でした。
次に私の家族について紹介したいと思います。私の家族は 4 人家族であり、三兄弟の中で私
は真ん中です。私の母はシングルマザーであり、3 人の子供を一人で育ててくれたので、私の
尊敬する人は自分の母です。家族の中で私が唯一の理系です。姉は法学部卒ですが、現在は映
画を輸入・輸出関係の仕事しております。弟は放送学部卒であり、現在はフリーランスカメラ
マン、監督などを務めております。
私は日本に興味を持ち始めたきっかけは子供の頃から、日本の漫画、アニメ、ゲーム、音楽
に触れ、日本語に大きな関心を持つようになっていました。日本語しかないゲームをやれるよ
うに中学時代には日本語を少し勉強したことがありました。アニメや漫画以外に私は高校の 1
年生の時に学校の代表に選ばれて、日本に文化交流プログラムに参加しました。
私が日本留学を考え始めたのは日本は先進的な科学技術や知識を持っている国である点が挙
げら、各研究分野において、世界をリードする研究拠点となっています。特に私が興味を持
ち、研究したい再生医療や幹細胞関連分野でも最先端の機器や設備が整っているからです。
その研究ができるようにまずは日本語学校で日本語を 1 年半を勉強しました。日本語学校在学
していた時に、クラス代表としてスピーチ大会参加や一度も遅刻、欠席もなく精勤賞をいただ
きました。
その次に日本の大学に入るために、1 年間をかけ、受験勉強をしました。こちらにも出席率
100%で皆勤賞をいただきました。学校の雑誌などでも載せたことがありました。
2013 年に茨城大学理学部生物科学コースに入学しました。私はダンスに興味があるので、ダ
ンスサークルを参加したり、4 年生に所属していた研究室が理学部のソフトボール大会に優勝
したことがあります。
2017 年に卒論を発表して学部を卒業しました。卒業研究のテーマはショウジョウバエを使っ
て、発生の工程や幹細胞のことを勉強しました。具体的はショウジョウバエの卵の中の幹細胞
を小さなのニードルで吸い取って、シャーレで培養したら、その細胞が精子に変化していく方
法について研究しました。写真は自分の研究以外にカイコを研究しているの先生に手伝ったり
もしました。茨城大学は茨城県の有名な観光地・ひたち海浜公園に近いので、休みにはよくい
きました。
学部時代の研究室の先生が定年となり、または私はもっと実用化に近い幹細胞の技術を勉強
するために、茨城大学から筑波大学へ進学しました。ただし、私が入学するタイミングで先生
が奈良先端大に異動することになりました。そのため、最初の一年には私は筑波大学で色んな
授業をうけなければならなかったため、最初の 1 年は共同研究先・産業技術総合研究所の創薬
基盤グループに所属となりました。具体的は授業は筑波大学で受けて、実験・研究は産総研で
行いました。修士の 2 年目は籍が筑波大学のままで奈良先端科学技術大学院大学に来て、研究
続けました。
2017 年に修士課程を無事に終了し、 2019 年に今の博士課程に入学しました。研究室は幹細
胞工学という研究室です。研究内容はのちほど紹介させていただきます。
私はコロナパンデミックの直前に、約 1 ヶ月ぐらいにカリフォルニア州にあるカリフォルニ
ア大学デビス校にラボスティーインターンシップに糖尿病について研究しに行ってきました。
毎日研究して、ホストファミリーと食事行ったり、一緒に料理やったりしました。休日も楽し
くて、同期の皆さんとパーティーあったり、色んなところに旅行してきました。
少し話が変わるのですが、私は日本での生活では長いし、私は私費留学生であるので、学費
や生活費が自分で稼いでいました。そのため、私はアルバイト経験がたくさんありました。最
初は日本語があまりできなくて、タイ料理屋さんでアルバイトをしていました。日本語がある
程度でできた頃にはそれに加えてコンビニでアルバイトをしました。実はここの経験で日本の
生活の中で一番苦労したと言えますね。その時はちょうど受験生で早朝にコンビニのアルバイ
トをして、昼は学校で受験勉強をし、夜はタイ料理屋さんでアルバイトしていました。それ以
外に日本語教師養成講座の模擬授業の学生のアルバイトだとか、大学時代は居酒屋のキッチン
だとか、学部の 3-4 年からは学業に専念するために、土・日だけや夏休みだけ、短期間でアル
バイトできるイベントスタッフ、通訳、ホテルのレセプション、大学の先生の研究の手伝いで
標本作製などのアルバイトの経験もありました。研究でもっと忙しい大学院のアルバイトは主
には通訳や翻訳のアルバイトでした。
勉強とアルバイト以外にもし時間があれば、社会に貢献できるように私はボランティア活動
もしました。祭り、東日本大震災地域で水を配布するボランティア、グローバル推進機構で開
催したグロバルで起業したい人達のための講座で私はタイで起業したい日本人向け講座などを
やりました。また、去年でやったことですが、大学内の外国人向けの日本語クラスのボランテ
ィアである日本語教材を書いた先生に知り合って、私はこの教材のタイ語版を翻訳担当となり
ました。
自分のことについてこちらのスライドは最後となりますが、私の趣味について紹介したいと
思います。私の趣味はスノーボードだったり、手芸、料理を作るのがすきです。
奨学金と皆さんのご支援のおかげさまで、私は現在研究に集中することができ、研究成果を
少しずつで出 しています。続きまして、私の研究について話したいと思います。世界保健機関
の報告書では、全世界で慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者は約 2 億人と推計されており、死因
の第 3 位となっている。喫煙、大気汚染、職業的な塵埃や化学物質が原因である。COPD 患者
の肺では、肺胞壁が破壊されて大きな袋状になり、気管支の壁は肥厚して内部が狭窄し、ガス
の交換効率が低下して呼吸が困難になることが知られています。現在 COPD の治療法として、
禁煙、薬物療法、呼吸リハビリテーションなどが行われているが、慢性炎症により変性した肺
胞を健康な肺に戻す治療法は存在しない。そこで本研究では、COPD を治療するための全く新
しい遺伝子治療技術で、ひどく損傷した肺の組織細胞から肺を再生しうる肺の幹細胞をつくり
だす技術の開発であります。
肺の幹細胞の作成技術を研究しているといったのですが、そもそも幹細胞はなんでしょう
か。私たちの身体のなかには、皮膚や血液のように、ひとつひとつの細胞の寿命が短い細胞も
多く存在します。その絶えず入れ替わり続ける組織を保つために、私たちは失われた細胞を再
び生み出して補充する能力を持った細胞を持っています。また、組織が怪我をしたりダメージ
を受けたりしたときも失われた組織を補充する能力を持った細胞が必要となります。こうした
能力を持つ細胞を「幹細胞」と呼びます。ただし、大人での体に存在している幹細胞は血液の
幹細胞だったら、この幹細胞は血球の細胞しか分化できないとか、存在している数が制限あり
ます。
幹細胞の機能や可能性をもっと拡大するために、とても有名な日本の研究であり、ノベル賞
も取った研究でもある、iPS 細胞があげられます。iPS 細胞は人の皮膚細胞を取って 4 つの遺伝
子を細胞内に入れたら、iPS のように人工多能性幹細胞がつくることができます。それをもとに
して、色んな細胞に分化することができ、細胞移植治療、難民研究、新薬開発などはできま
す。私の研究は iPS 細胞に少し似ているのですが、iPS は皮膚細胞のような体細胞から幹細胞の
状態にしてから、他の細胞に分化転換していく技術です。ただし、私の研究は iPS の状態にし
ないで、直接皮膚細胞から肺の幹細胞に分化転換していき、「ダイレクトリプログラミング」
という技術を開発しています。
修士時代で行っていた研究ですが、さっきの転写因子が入っているセンダイウィルスという
ウィルスの中に構築をして、人の皮膚細胞に感染したら、肺の幹細胞に変わっていたという結
果がえられました。
博士課程では、非臨床試験として、もし将来はこの方法・遺伝子治療をするとしたら、損傷
した肺では修復できたのか、検証しております。私が行っていることは主に2つあり、一つ目
はアデノウイルスは直接脾臓に注射し、肝臓と膵臓にある細胞は胚の幹細胞に分化転換しまし
た。2 つ目は作ったアデノウイルスを肺が破壊したマウスに投与したら、損傷した肺は再生を
誘発することができました。いわゆる破壊した肺がまた元気になったとのことです。
研究の後半として、このウィルスをの副反応や危険性を調べています。具体的にいうと、ウ
ィルスをマウスに投与して半年後にどうなるか調べています。
最後に将来についてなのですが、私は、難病に苦しい世界の人々を一人でも多く救うため、
新たな医療技術を開発したいと思っております。また、私は再生医療は医療界の新たな希望で
誰もが受けられる医療として普及させ、実用的、効果的に使用できると社会に見せたいと思っ
ております。それを実現できるため、私は約 1 年ぐらいという長い就活期間に乗り越え、今年
の 8 月の中旬にロート製薬株式会社から内 定をいただきました。
ロート製薬は現在脂肪由来の間葉系間葉系幹細胞を用いた再生医療の研究開発を行っていま
す。現在、肝硬変、重症心不全、腎疾患、新型コロナウイルス感染症に対する企業治験や医師
主導治験を進めています。私の将来にやりたいことと一致しているので、きちんと自分の夢を
向かって進むことができます。
現在はこのようなご時世ですし、研究や就職活動は苦労しましたが、米山記念奨学金のおか
げで、研究と就職活動を両立することができ、心から感謝を申し上げます。